お金の神様

極貧からの脱出。お金持ちになる方法、心と体の改善方法。

このページは自己破産体質改善を目的に書かれたエッセイです。

ベストコンディションを待たない

元巨人軍の西本投手は何度かノーヒットノーランを達成しているが、前日に深酒したり、睡眠不足だったりコンディションが悪い時に偉業を成し遂げる事が多いそうだ。アメリカの往年のプロゴルファーのトムワトソンも風邪を引いた時に全米オープンに優勝したことが二回あるそうだ。世界トップのアスリートは体調管理を完璧にこなし優勝の美酒を楽しむものと思われているが、実はこのような例は多いらいい。

 

万全の準備が整わなければバッターボックスに立とうとしない人がいる。「今日は熱っぽいからこの大切なプレゼン資料は明日にしよう」、とか「大切な部長への報告会は今週は準備不足なので来週に回してもらおう」などなど。このような人は、「コンディションが悪いと仕事の質も下がる。質の悪い仕事をするくらいなら今日はやめておいて、質の高い仕事が出来る日にやろう」と考える。しかし、本当にコンディションの良い日は早々やってこない。結果締切りに間に合わなかったりする。また、やってきたとしても、そういった日に限って結果が出ないものだ。スケートの浅田真央選手は、先のオリンピックの時コンディションは良かったが結果が出なかった。

 

結果の神様は逆境をはねのけて前に進む人を応援するらしい。

大きなものと繋がる

平成という元号を考えたと言われる、昭和のフィクサー安岡正篤。東大大学院時代に著わした「王陽明研究」で安岡は一躍有名になった。陽明学では、「宇宙(=真理)はエネルギー体それを神と言っても良いが、実はわれわれ1人1人の心の中にも小宇宙があり、そこにも真理がある」と説いている。安岡を慕う政治家や文化人、経済界の重鎮は多いが、彼らは安岡ファンであると同時に王陽明ファンと言っても安岡には叱られまい。

 

紀元前のインドで生まれ仏教へと伝わる、「梵我一体」という思想も同じ考えだ。梵(=宇宙)と我(=1人1人の魂)は一体であるとする。イスラーム教では、アッラーは宇宙そのもので心の中にもアッラーが宿ると教える。キリスト教の旧約聖書は宇宙の成り立ちと人間の創造について書かれている。いずれも大きなものの一部として人間が存在していると教えている。

 

夏目漱石は晩年に人間の理想の境地を則天去私と言った。陽明学や仏教に通じる考え方である。人間は大きなものと繋がっていると実感するとき救いがあるようだ。NASAの宇宙飛行士の多くが宇宙で神秘体験をし、帰還後に魂が救われたと語ることがしばしばあるがこれも大いなるものと繋がる経験の結果に違いない。

 

このような体験は特に信仰心が無い人でも体験出来る。人は雄大な自然を前にすると魂が洗われる。自分が、自然という自分を超えたものの一分であると実感する事が心の救済となる。山へ登ったり、夜満天の星を見上げたり、秋晴れの青空を眺めたりするだけでよい。

 

「締切り効果」と「火事場の馬鹿力」

「人間は誰でも平等に24時間しかもっていない」というのは本当だろうか?能力に差がないのにいつも成果に差が出る二人の若手、A君とB君を部下に持つ管理職の田辺さん(仮名)はいつも不思議に思っていた。A君に仕事を頼むと期限通りにアウトプット出来ない。会議の資料も未完で発言も少ない。残業も多い。一方B君は仕事を頼むといつも早い。期限よりかなり早く完成させてくれる。自分の仕事は完璧にこなし、余裕が出ると他の人の仕事も手伝って部内の評判もいい。彼女がいるらしく残業もあまりしない。

 

あるときB君の席を通りかかり、B君の仕事ぶりの秘密を垣間見た。B君はタスク(仕事の一単位)ごとに使う時間を細かく設定しパソコンの脇にポストイットにして貼ってあった。例えば、木曜日の資料準備25分、新製品販売データ整理45分などと、田辺課長が想定した時間の三分の一程度のかなり短い時間を設定している。分刻みの締切りを自分に課して集中力を高めていたのだ。元トリンプインターナショナル社長の吉越浩一郎さんは、ノー残業社長で有名だった。自分も残業しないが、社員にも残業させない。それで大変な業績を上げ続け経済界で話題になった。秘訣はひとつひとつの仕事に締切りをを設けて集中力を高める「締切り効果」をフル活用したそうだ。仕事のスピードは4倍、質は3倍になりのんべんだらりと仕事をする場合に比べ10倍以上の生産性になる。A君とB君の与えられた時間は同じ24時間だが、成果という点で見たらB君はA君よりたくさんの時間をもっていると言える。

 

生産性をさらに上げる手がある。火事場の馬鹿力と言われる、ここ一番でしか発揮力できない力を使うのだ。火事の時に、自分の体重の倍もあるタンスを軽々運び出した、などの逸話である。誰でも人生で一度や二度は火事場の馬鹿力を発揮したことがあるはずだ。高校や大学の入学試験の時、大好きな恋人に告白したとき、などなど。本来人生に数回しか使うチャンスの無い、非日常の力を日常的に使う事が出来れば生産性は100倍に高まるはずだ。

 

ではどの様に火事場力のスイッチを入れるのか。毎日の一瞬一瞬が勝負であるという覚悟を持ち、想定するタスク完了時間の10分の一程度の短い時間で締切りを設けて取りかかって見ることが有効だ。この仕事も勝負、あの仕事も勝負と自分に言い聞かせて超短時間の締切りで取り組む。きっと仕事の質も向上しているに違いない。