生れ変わる!

極貧からの脱出。お金持ちになる方法、心と体の改善方法。

このページは自己破産体質改善を目的に書かれたエッセイです。

親しき仲で糖衣は避けよ

Dカーネギー著の世界的ベストセラー「人を動かす」(原題”How to get a friend and influence people”)は処世術の本として名高い。例えば、人との会話では自分がどんなにしゃべりたくても我慢して聞き役に回れ、とある。そのほうが相手に好意を持たれるのだ。これは真理である。竹下登元首相は人と話すとき徹底して聞き役に回った。「ほう、なるほど、さすが」としか言わなかった。竹下ファンが増え、彼の元に多くの政治家が集まった。

 

聞き役を続け、還暦を過ぎるころから彼は無表情になった。まわりの人から、「竹下先生は何を考えているか解らないので恐ろしい」と言われた。人心が離れ始め、首相になってからの在位期間も短かった。

 

小泉純一郎元首相は晩年に花開いた人だ。若い頃から本音で人にぶつかってきた元首相は人から慕われるタイプではなく「変人」と言われ続けた。しかし、総理大臣になってからは思ったことをストレートに言葉に出すわかりやすさで国民の人気を博し、それまであまり親しくなかった政治家、例えば武部勤元自民党幹事長などは元首相が在任中忠誠を尽くした。

 

カーネギーの言う、「自分の本音は隠して相手に合わせよ」というアドバイスはあまり親しく無い人に対しては有効だ。仕事で知り合った取引先、そんなに近しくない同僚などには相手を喜ばせるカーネギー流は効果がある。しかし、長年つきあうであろう親友、家族、一蓮托生の仕事上のパートナーに対してはふさわしくない。本音を隠して表だけを取り繕っても馬脚を現し相手に不信感をもたれる。

 

糖衣の正露丸(正露丸トーイ)はすぐ飲み込むからいいのであってもし飴なら嘗めている内に苦みが出てくる。すると「お前は本当はそんなやつだったのか」と不信感が倍増する。長年つきあう相手には、「俺は苦いやつだけど体にはいいぞ」と本音でぶつかるに限る。年を経る事に友情は厚くなるはずだ。

 

南北問題の解消

映画「Always」がヒットしている。東京オリンピック直前の東京を描いた作品だ。単に懐かしさだけではこのようなヒットにはならない。この時代は日本が一番輝いていた時代かも知れない。輝きへの渇望が観客を呼んでいるのではないか?

 

さて、日本が何故豊かになったか?それは戦後奇跡の復興を遂げて先進国の仲間入りを果たしたからだ。1970年代から始まったサミット先進国首脳会議は当初7カ国だった。非欧米で参加したのは日本だけである。

 

先進国経済の基本構図は、19世紀の植民地時代から実はあまり変わっていない。発展途上国から安く原材料を仕入れ製品化し高く世界に売りさばく。先進国は発展途上国を買いたたいて自分たちの富を築き上げてきた。このことは富の偏在を個人所得で見れば、よく分かる。当時世界人口の僅か15%の先進国が富の72%を独占していた。日本は第二次世界大戦には敗れたが、戦後アメリカの傘下に入ることにより意図せずにも先進国の帝国主義的恩恵にあやかってきた。

 

21世紀に入って収入が増えない、むしろ減ったという感想を持つ日本人が増えた。これは日本人だけではない。統計資料を調べるとこの減った富の行き先が解る。実は発展途上国に富が移転されている。原材料費の値上がりという格好で先進国から途上国への所得移転が起こっているのだ。原油国がOPECを作り自分たちの権益を守ったのが一例である。

 

近年は労働市場でも富の移転が盛んだ。アメリカのシリコンバレーでは経理業務の人材採用募集が皆無。皆インドなどにアウトソーシングしていしまい国内に仕事はない。通信費の値下がりも手伝って、プログラミングなどのシステム業務、電話応対のオペレーション業務もインドやフィリピンなどに行ってしまい、アメリカ人が職を失っている。

 

同じような傾向は日本でも着実に起きている。先進国の賃金が途上国に近づき、途上国の賃金が先進国に近づいている。このこと事態は世界視点で見ればいいことかも知れない。しかし、日本で働く動労者には厳しい現実である。

 

人生におけるチャレンジの総量はあらかじめ決まっている。

ある困難をうまく避けても、違った困難が降りかかってくる事がよくある。Aさんは折り紙付のボンボン。父親は元高等裁判所の判事。一流大学を卒業し東京都庁にキャリアで入官した。世田谷の尾山台に大きな家を持ち悠々自適の生活。男箱入りで育ったので性格はいいのだが、いかんせん妙にプライドが高い。このプライドの高さが恋愛の時に災いして、40歳を迎え未だに独身。婚期を逃してきたのだ。心配した親が息子に縁談を勧めたが、なかなか写真の相手に会おうとしない。どうも好みでは無いらしい。そこで母親が息子の好みの女性を調べたところ、深田恭子のような小悪魔的な女性が好きらしい。両親は人脈を駆使し息子が好きそうな女性を見つけてきた。深田恭子似の34歳。バツイチだが大阪の国立大学を出た弁護士資格を持つ外資系勤務の女性だった。

 

写真を見て息子はすぐに会いたいといい、早速お見合いになった。お見合いの席では、息子は一目惚れらしく、その後両親に「話しを勧めて欲しい」と懇願するほどだった。結局お互いろくにデートもせずに結婚式を迎えた。式の前に籍を入れたいという花嫁側の希望で入籍を済ませての結婚だった。

 

この結婚、花嫁はお金目当てだった。半年もしないうちに彼女の目的は発覚したが、時既に遅し。離婚に際して多額の金品を要求する彼女に対して、地位も名誉もある家柄の一家はひとたまりもない。一億円近くの慰謝料を払い、離婚した。花婿は大いに傷ついた。

 

恋愛や結婚というチャレンジを親が肩代わりしたが、結局同じチャレンジが本人に降りかかって来た例だ。しかも後ろ向きのチャレンジなのだから始末が悪い。もし彼が、プライドを捨て積極的に女性に交際を申し込み、振られながらもアタックを続けていれば深田恭子似でしかも性格が良く、彼を愛してくれる女性と出会っていたかも知れないのだ。

 

困難に立ち向かう時に人生は前向きなチャレンジに満たされる。困難を避けるとき同じ大きさのチャレンジが後ろ向きの形で降りかかってくるのが世の常である。